WHAT IS JAZZ (ジャズとは何か?)
解説:LEONARD BERNSTEIN
演奏: 〃
OMNIBUS SERIES CBSソニー
一寸面白いレコードが出てきました??
ジャズとは何か??
続き!!
●これは又ジャズの場合でも同じですが,ジャズは全く演奏家の芸術であり、何時も
楽譜に忠実でない即興的な感覚をもって演奏している所にその生命があるのです。
即ちジャズの演奏家こそ真の作曲家であり、より独創的であってしかも高尚な品
位をもっているのです。
●一方ジャズをうるさいという人があります。そういう人はスーザのマーチだってうる
さい筈ですが、まだそういう不平を聞いたことはありません。
ジャズは何時もうるさいものとは限りません。実際そこには非常にデリケートなも
のがたくさんあるのです。恐らくジャズに対する悪評は、狭い部屋で正規のブラス・
バンドを演奏するのと同様な場合から出ているのではないのでしょうか。だがそれは
ジャズ自体の罪では有りません。
●次にジャズに寄せる主な非難はジャズが芸術でないということです。私はジャズは芸術
であると思います。それは全くの特殊な芸術です。だが私達はジャズが芸術であるとか
ないとか議論する前に、先ず,ジャズとは一体何であるのかを知らなければなりません。
そこで先ず私が持っているジャズの知識とジャズに対する愛好心を皆様にお話して参
りましょう。
●では最初に先ほど聴いたブルースを今一度聴いてみて、それが何から出来上がっているか
を調べて見ることに致しましょう。
エムプティ・ベッド・ブルース(唄:ベッシイ・スミス)
●さてジャズを形成す要素は何でしょう。
●先ず最初にメロディーです。一般に西洋の音楽はメロディー的にみてメイジャーな(長音階)
マイナー(短音階)その他が基礎になっております。
●だがジャズには特別な音階があり、それは私達子供の頃から練習していた長音階の変形なのです。
ジャズでは,この音階が3ヶ所変えられております。先ず三度のホが、半音下がって変ホに五度
の音トが、同じく半音下がって変トに。又七度の場合も、ロから半音下がって変ロ・・・。となる訳
です。
●この3つの変化した音をブルー・ノートと申します。そこで普通ならこういうフレーズが・・・
これは余りジャズ的ではありませんが、これにブルー・ノートを使うとこういうことになるのです。
大分ジャズ的になりましたね。
●しかしこのいわゆるジャズ・スケールはただメロディー的にのみ使われているものなのです。それ
を支えるハーモニー(コード)は矢張り昔ながらのフラットされない音を使うわけです。そしてこの
メロディーとコードの間に起るのが不協和音です.・・・
この不協和音がお解りですか。・・・
だがこの不協和音こそ本当のジャズの音なのです。・・・
●ジャズ・ピアニストは何時もこの2つの不協和な音を同時に使っております。そしてそれにはわけ
があるのです。彼等は常にその2つの間にある音を捜し求めているのです。つまりこの音変ロとの
間です。そしてその音はクォーター・トーン(4分の1音)と呼ばれます。
●このクォータ・トーン(4分の1音)はジャズの発生地アフリカから来ています。そしてそこでは
クォーター・トーンが日常茶飯事なのです。我々は弦楽器ヤ肉声ならこの4分の1音を出すことが
できます。がピアノでは隣合2つのキイを同時に叩いて見て大体の音を探るより外に方法があり
ません。
その本当の音はこの2つのキイのミゾの何処かにあるわけです。
●もし皆様が私のスゴイ声を許して頂けるなら、一寸そのクォーター・トーンを出して見ましょう。
これは私がかって一度聴いたことのあるアフリカのスワヒリの曲です。この最後の音がクォーター
・トーンです。この最後の音・・・どうも調子っぱずれに聞こえます。だがこれも或る音楽には立派
な正しい音なのです。今、ジャズではブルー・ノートが如何に大切かを示す為に、先ほど聴いた
ブルースを普通の長音階の(ピアノで云う)白キイを使ってやってみましょう。
エムプティ・ベッド・ブルース(バスターベイリー独奏)
●何かが物足りないでしょう。これはジャズではないのです。だがジャズではこのメロディーより
重要なものがリズムの要素です。リズムは皆様がジャズに興味を持つ最初の項目でしょう。